【バレンタイン短編-2009-】 俺のココ、あいてるけど。
「ミクは明日もずっと一緒な!」
もう用ナシだとばかりにポイッとあたしの携帯を机に置くセイジ。そして、キラキラ輝く目であたしを見つめてきた。
「セイジのバカ。イズミちゃんにまで言うことないじゃん……」
あたしは勝手に切られた携帯に目を移しながらポカッとセイジの胸をたたいた。
「いいんだよ。誰に言わなくてもいずれ分かることなんだから。そうだ!明日、水族館に連れてってやろう!どうだ?」
「……行く」
「よぉし!」
ボソボソと答えると、セイジはあたしの頭をクシャクシャにした。
なによ。セイジのアホ。なんであたしのこと全部お見通しかな。めちゃめちゃ悔しい。
“水族館”って言えばあたしの機嫌が直るってことも、本当は仕事なんて行きたくないって思ってたことも。
セイジの手にかかれば、あたしの気持ちを知るなんて、きっと朝飯前ってやつなんだ。
もうこうなったら楽しむだけ楽しんでやるんだから。店長も仕事もスコーンと忘れて遊んでやる。
「さ。邪魔者も消えたことだし、続きでも」