【バレンタイン短編-2009-】 俺のココ、あいてるけど。
「ちょっと待ってよ……!」
またまた器用な手つきで押し倒されたあたしは、もうセイジのなすがまま。
「嫌。待たない」
骨の芯までゾクッとする言葉と視線にやられて、あたしたちはもう一度体を重ねた。
セイジは言葉とは裏腹にまたあたしを優しく抱いてくれて、さっきと同じように何度も「愛してる」と言ってくれた。
あたしはセイジの中に溺れて、何度も何度も体を震わせた。
ちょっと強引なところもあるセイジだけど、あたしはそんな部分も全部ひっくるめて愛してる。
チョコのように甘い言葉と、骨まで焼き尽くされるんじゃないかってくらい熱い愛し方……あたしはいくつになってもきっと忘れることはない。
子どもを産んでも、その子があたしたちの元を巣立っていっても、結婚して孫ができても、ずっと忘れない。
どちらかが先に天国へ旅立っていっても、きっとそう。あたしはセイジ以外に愛する人はいない。セイジも、あたし以外に愛する人はいないだろう。
もう一度セイジに抱かれて、あたしはこのとき天国を見たんだ。