【バレンタイン短編-2009-】 俺のココ、あいてるけど。
セイジはあたしの言葉を最後まで聞かずに、まるで子どもをあやす感覚でなだめた。
そういう優しいところが好き、あたしを一番に考えてくれるところが好き、子どもっぽいあたしを嫌な顔1つせず受けとめてくれるセイジが好き。
だけど今は……。
「あたしのことはどうでもいいって言うの?」
気づいたときには、口からはとんでもない言葉が飛び出していた。
セイジは黙ってる。
「ごめん……あ、あたし、仕事行ってくる。じゃあね」
楽しみにしていた予定を潰されたイライラか、それともあたしがどれほどセイジに会いたかったか伝わらないもどかしさか……。
あたしはついにセイジを困らせるようなことを言っちゃったんだ。
すぐに謝ってそれから急いで仕事に向かったものの、この日、いくら携帯をチェックしてもセイジからの連絡は入らなかった。
綺麗にカットしてもらった髪も、少しでもかわいらしく見せたくて買った服も、今セイジに見てもらわないとダメなのに……。
あたしのそんな焦る気持ちが、セイジを傷つけてしまった。