愛してると言って!

「ったく…。」

それはあたしの台詞だ。

「…なぁ、美憂。」

「ん?」

「腹へった。なんか作って」

嫌だ。なんて言うとまた文句をベラベラと言い出すからやめた。

「仕方ないな…。何食べたいの?」

頼むからあたしが作れそうな物にして下さい。

「んー、おにぎり。」

古風な子だこと。

「あいよ」

キッチンに行き、炊飯器の中を見ても空っぽ。
米すらなかった。

「米ないからあたし買いに行ってくるね。」

「ん~。」

コタツで寝転がって肘をついて顎を支えながらテレビを見ている。
あたしに見向きもしない。

どこの日曜日のお父さんなんだよ、お前は。

ふぅ、とため息をもらしてコートを一枚羽織っただけで外に出た。

「寒い…」

意外と寒いな。そりゃ冬だから寒くて当たり前なんだけどね。

予想外の寒さだった。

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