桃色恋歌
「ん?」

「金曜日さあ、玄関ですれ違うとき私に何か喋った?」
言った、言っちゃった。

独り言呟くように、彼の方を見ないで喋っていた。
だって、恥ずかしいじゃん。

「何で?」

その返事が、私にとっては全てだった。
やっぱり、自分の自惚れだったのか・・・

「いや、何でもない。じゃあ、ただの空耳。」
何気ないふりを装いながら、喋っていた。
だけど、ショックは大きかった。
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