私だけのスーパーマン
ヒヤシンス
―Side 洋―
『ごめん、貴大
1発だけ…殴らせてくんねぇ?』
次の日
大学へ行くといつも通りの貴大がいて。
俺はアイツの目の前に立つとそう言った。
貴大は何も言わない。
そして俺は貴大の腹にめがけて思いっきり殴った。
ボコッ、と鈍い音
貴大は痛さに少し、顔を歪める。
本当は顔を殴りたかった。
でも、姉ちゃんがお前のこと許してるから仕方なしに腹なんだ。
『ちょっとは手加減しろよ…』
腹をさすりながら絞り出すような声で貴大は言う。
『お前がいけないんだ。
姉ちゃんのこと、泣かした罰な。』
昔っから俺は姉ちゃんっ子だった。
シスコンまではいかないものの、やっぱり姉ちゃんの涙なんて見たくなかった。
なのにこのバカは…
やっぱり、腹が立つ。