私だけのスーパーマン
『え?昨日いた人がすみれさんのことが好き?
んな話…あるワケないじゃん』
貴大が小声なのは今が講義の最中だからだ。
『お前は聴いてなかったから分かんないかもだけど…
絶対、あの人すみれさんのこと、好きだって』
昨日、バーを出てから何かがずっと気になっていて。
さっきの貴大の言葉で分かった。
何がヒントになったのかは分からないけど。
あの荒川泉っていう司書の人。
すみれさんのこと、好きだ。
根拠もなければ理由もない。
だけど、分かる。
『そんなに言うなら確認しに行けばいいじゃん。
うちの図書館で働いてるんだろ?』