私だけのスーパーマン





「泉さん、って呼んでもいいですか?」

なんだか、もっと荒川さんのことが知りたくなってそんなことを聞く。



『いいですよ。

その代わり……』

荒川さんはニヤッと笑う。


『その代わり、あなたの名前…教えてください、すみれさん』


え…今、なんて…?


「最後…なんて言いました?」

そう聞くと泉さんはシレッとした顔で言った。


『すみれさん』

と。


「なんで私の名前を…」


『初めてお逢いしたときから知ってましたよ?』

泉さんは私の言葉が終わる前にそう言った。



『僕は、知ってたんです、最初から。

あなたが、すみれさんだ、って。』


「なんで…?

私、言ってないですよ?」


不適に笑っている泉さん。



『そうですね。

確かに、言ってない。


でも書いてあるよ。』

泉さんはクスクス笑いながら机に置いてあるものを指す。



「あぁー!!」

それは私愛用のブックカバー

そこに刺繍がしてある


「すみれ」

って。







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