私だけのスーパーマン
『あのさ、俺…』
サイドブレーキを引きながらタカは呟く。
着いた場所は…海?
あまり見覚えのない海岸。
波の音と潮風がなぜか懐かしさを思い出させた。
『彼女作らない理由、ちゃんとあんだよね』
「好きな人がいる、とか?」
おどけた顔でそう言うとタカは黙り込む。
「え…図星?」
冗談だったのに。
今度は私が黙り込む。
『ずっと…中学んときからずっと、好きなヤツがいるんだ』
タカは車を降りる。
それに続くように私も車を降りた。
車に乗るときてっぺんにあったはずの太陽はだいぶ傾き、青い海をオレンジに染めていた。