私だけのスーパーマン
シャクナゲ
「………奥寺さん!」
バイトが終わり、裏口から出るとスーツ姿の奥寺さんがいて。
「待ちました?」
なんて聞くと奥寺さんは首を横に振る。
『まあ…ちょっとだけね?
でもま、すみれちゃんを待つことは苦じゃないから全然いいんだけど』
私はこの時間が好きだ。
どうしようもないくらいに。
カラダを重ねているときじゃなく、
この普通の会話が私はとても好きなんだ。
散歩でもするかのような足取りで肩を並べ歩く。
行き着く先はいつものバー。
きっと今日も泉さんがいるんだろうな。
なんて思いながらバーへ入った。