私だけのスーパーマン
サッと泉さんの顔色が変わる。
『タツがなんか言ってた?』
グラスを磨く泉さんは何かを必死で振り払っているようだった。
「泉さんの過去を知ってる、って。
マスターそう言ってました。
それは…この間言ってた私が知らないほうがいい話なんでしょう?
泉さん。
私は何を聞いてもあなたを見る目は変わらない。
だから、教えて下さい」
どうしてだろう。
どうしてか、泉さんのことを知りたかった。
好奇心や興味本位なんかじゃなく、ただ知りたいと思った。
泉さんは悩んでいるのか、俯いたまま動かない。
「私には…言えませんか?」
そう聞くと泉さんは静かに頷いた。