私だけのスーパーマン
エーデルワイス
『そっかぁ~
泉から聞いたのか』
それから数日経ったある日。
泉さんが休みの日にバーへ行った。
「あんな過去があったなんて知らなかったです」
マスターはふっと笑う。
『まあ誰も考えないだろうね。
あんだけ爽やかで、あんな過去があるだなんて。』
「ですよね~…」
コロンと氷が鳴る。
マスターは懐かしそうに遠くを見つめた。
『高校のときから泉とは仲良くてさ、お袋さんがあんなことになったっていうのは本人から聞いたんだけど…
アイツ、魂抜けたみたいな…感情なくした顔で俺に話してて。
一応高校は卒業するまでいたけど、ずっと元気なくて。
今あんだけ笑えてるのが奇跡のようなもんだよ』
頬杖ついて、氷を回す。
『アイツ、相当すみれさんのこと信頼してるよ。
お袋さんの話、してるんだもん。
だからさ、いろいろ考えてやって…ね?』
「いろいろって…」
そう言われても何を考えればいいんだろ?
考えることなんてないのに…