私だけのスーパーマン
『俺は家庭よりすみれちゃんのこと大切にしてるつもりだよ?
他に…何を求めてるの?
俺の何が不満だった?』
奥寺さんがジリジリと迫ってくる。
私は後退りして首を横に振る。
「そうじゃない…そうじゃないんです…」
違う。
全然違うよ、奥寺さん。
「不満なんて…何もありません」
大切にされてたと思う。
不倫ってカタチだったかもしれない。
でも、それでも私は十分に幸せだった。
だから…だからなんだ。
「奥寺さんには家庭がある。
私は…その家庭を壊したくありません」
何よりそれが1番イヤだった。
奥寺さんの家庭が壊れてしまうこと。
それが1番イヤなんだ。
そのことを泉さんの話を聞いて、気づいたんだ。
もう迷いたくない。
奥寺さんには見失って欲しくない。
今がどれだけ幸せなのかを。