私だけのスーパーマン
『家庭?
そんなのすみれちゃんの次だよ。
俺はすみれちゃんのほうが大切だ。』
「だったら…」
壁際に追い込まれる。
でも怯まない。
ここで怯んだら何もかも変わらないまま終わってしまう。
「だったら…奥さんと別れられますか?
息子さんも捨てて、私と一緒になれますか?」
賭けだった。
でもこれ以外の方法は思いつかなかったんだ。
こんなこと、言いたくなかった。
だって私が願ってるのは奥寺さんの幸せだから。
奥寺さんの幸せは、奥さんと息子さんの間にある。
私はそう信じている。
『………生意気言ってんじゃねぇ』
そんな低い声とともに左頬に痛みが走った…