私だけのスーパーマン
「じゃ、また明日ね」
綾は貴大くんと2件目へ向かった。
あれは…酔ったフリをして貴大くんに家まで送ってもらおうとしてる。
お酒に強い綾が酔うことなんて滅多にない。
でも今の雰囲気だと絶対そう。
『すみれさん、家まで送りますよ』
洋くんがタクシーを止めるために手を挙げようとした。
でも
「いいよ、洋くん」
私はその手を止める。
「家まで歩いて帰れるから。
ここから10分くらいのところだし、送ってくれなくて大丈夫だよ」
そう断り、先を歩く。
『すみれさんっ!
危ないですって。
遠慮なんてしなくていいんで。』
洋くんはそう言って私の隣に並んだ。
断ろうと思ったがやめておいた。
洋くんと2人って言うのも楽しいしね。