私だけのスーパーマン
『俺がすみれちゃんと初めて関係をもった日。
あの日…実は結婚記念日だったんだ。
でも俺、完全に忘れてて。
家に帰ったら嫁は泣いてて。
そこから俺たちの関係は悪化していった。
おしどり夫婦、そう言われてた俺たちはいつしか会話をしなくなり、目を合わさなくなった。
一緒だった寝室も別になった。
ただ俺はすみれちゃんのせいでこうなったとは思ってないよ。
全部、俺がいけなかったんだ。
嫁がいるのにすみれちゃんに惚れた。
結婚記念日を忘れた。
両方とも、俺がいけないこと。
だからすみれちゃんを責める気はいっさいなかった。
この間は…つい、イライラしちゃって怒鳴ったりぶったりしちゃったんだ。
すみれちゃんの部屋を出てから後悔したよ。
実はあの日…嫁と子供が家を出て行ったんだ。
もう俺にはすみれちゃんしかいないんだ。
だから俺と別れるなんて考えないでほしい。
俺は嫁とは別れるつもり。
離婚して、すみれちゃんと結婚したい。
俺はそう思ってる。
返事はいつでもいいから。
それじゃ、また連絡するね。』
「勝手だよ…」
バーを出ていく奥寺さんの背中に呟いた。