私だけのスーパーマン
『なるほど…』
私の話を聞き終えた泉さんは呟いた。
さっきの奥寺さんの言葉を簡潔に話した。
『また別れの言葉は言えなかった、ってことですよね?』
あ…そうだ。
今日は別れるつもりで来たんだった。
なのに、その話に触れる前に言われちゃんたんだ、私。
『しかもプロポーズされてしまった…っと。』
泉さんは苦笑い。
『あの奥寺さんのことを悪く言うつもりはないですけど…
僕には言えないです。
奥さんと離婚するから結婚してほしい、みたいなことは。』
この言葉には私も苦笑い。
確かに普通なら言えないよね。
『どうするんですか?
プロポーズの返事は』
「そんなの決まってますよ」
答えは決まっている。
「プロポーズは断ります。」