私だけのスーパーマン
「きっと、一時の感情だったんです。
バカみたいですよね…私。
そんなことにも気がつかなかっただなんて。」
私は笑う。
笑わないと涙が溢れそうだった。
なぜだかすごく悲しかったんだ。
『そうですか。
そうだったんですか。
てっきり俺は奥寺さんにゾッコンなんだと思ってた』
泉さんの口調が変わる。
『なら次こそ言わなくちゃいけない。
もう次はないと思うべきだ。
引き返せないところまで来てしまったのは事実。
だけど、これ以上踏み込んじゃいけない。
すみれさん。
あなたの意志はもう曲がることはないと思う。
少なくとも俺は、そう信じてる』
泉さんは笑って言う。
私は奥寺さんを愛していない。
結婚なんてしない。
あの人とは終わりにする。
そう決心できたのは全部、泉さんのおかげだった。