私だけのスーパーマン





「あ…今、バカにしたでしょ?

まあ別にいいよ。


ムキになってるのは洋だけだしね。」


あ…いやいや。

綾も十分ムキになってるよね?



「そう言えば」


綾は手をポンッと打つ。



「洋ね、彼女…できた、って言ってた」


綾の突然の言葉に私は驚きすぎて鞄を落としてしまった。




「あ…このこと言ってよかったのかな?

うん…まあ、いいよね。


とりあえず、詳しいことは昼に聞くといいよ。


良かったね、すみれ。

あんなウザイやつに言い寄られなくてすむよ」


綾はニコッと笑う。



………なんでだろっ


なんか…胸が痛い。

洋くんに彼女ができた、っていう事実が私を苦しめる。



なんなの?このキモチ。


「好き」

なんて感情じゃない。


でもなんか…寂しいんだ。


って私、すごく勝手な女。

本当は喜ばなくちゃいけないことなのに。








< 197 / 234 >

この作品をシェア

pagetop