私だけのスーパーマン




一夜を明かしたホテルを背にして私はタクシーに乗る。



「XYZ大学まで」

そうタクシーの運転手さんに告げ私は携帯を開く。



『気をつけて大学行って来いよ』


そう私にメールを送った人物は数時間前まで私の隣にいた人。


ホテルに入るときは2人なのに

出るときは1人


こんなに寂しいことはない。

きっと、そのこともあなたは知らないんだ。




「すみれ~

それ、昨日と同じ服じゃん


またお泊り~??」


大学に入るなり私に声をかけてくるのは友達の綾(アヤ)



「………いいでしょ、別に」

そう言うと


「すみれがそれで良いならいいけど…

でも、早く別れたほうがいいよ?


不倫なんて奥さんにバレたら大変なことになるじゃん」



「分かってるよ、そんなこと」



私の恋は純粋で真っ直ぐな恋じゃない。


一般的に


『不倫』


そう言われちゃうような恋。


ただ、好きになった人に奥さんがいた、

それだけなのに人は別れろと言う。


私だってこれでも二十歳だ

だから不倫がどれだけ危ないことかも分かってるつもり。


でも…好きなんだもん。

あの人のこと…愛してるんだもん。







< 2 / 234 >

この作品をシェア

pagetop