私だけのスーパーマン
一夜を明かしたホテルを背にして私はタクシーに乗る。
「XYZ大学まで」
そうタクシーの運転手さんに告げ私は携帯を開く。
『気をつけて大学行って来いよ』
そう私にメールを送った人物は数時間前まで私の隣にいた人。
ホテルに入るときは2人なのに
出るときは1人
こんなに寂しいことはない。
きっと、そのこともあなたは知らないんだ。
「すみれ~
それ、昨日と同じ服じゃん
またお泊り~??」
大学に入るなり私に声をかけてくるのは友達の綾(アヤ)
「………いいでしょ、別に」
そう言うと
「すみれがそれで良いならいいけど…
でも、早く別れたほうがいいよ?
不倫なんて奥さんにバレたら大変なことになるじゃん」
「分かってるよ、そんなこと」
私の恋は純粋で真っ直ぐな恋じゃない。
一般的に
『不倫』
そう言われちゃうような恋。
ただ、好きになった人に奥さんがいた、
それだけなのに人は別れろと言う。
私だってこれでも二十歳だ
だから不倫がどれだけ危ないことかも分かってるつもり。
でも…好きなんだもん。
あの人のこと…愛してるんだもん。