私だけのスーパーマン





「ありがとね、洋くん」

アパートの前に着き、お礼を言う。



『いえいえ、これくらいおやすいご用です。

あの、突然なんですけど…』

洋くんは言いにくそうに俯く。


でもすぐに顔を上げ、



『俺…すみれさんの彼氏に立候補…してもいいですか?』



そう言った。


驚いて何も言えない私。

洋くんが私に好意を寄せてくれているなんて思ってもみなかったから。



『今日、俺がセッティングしたのは本当は自分のためなんです。

姉ちゃんに無理言ってすみれさんを連れて来てもらうように頼んだんです。


迷惑…ですか?』


不安そうな顔をして私の様子をうかがう洋くん。

私は自分の部屋のドアと向かい合った。


そして言い放つ。


「私なんてやめたほうがいい。

洋くんにはもっと似合う人がいる」


私は洋くんの返事も聞かないまま、部屋に入った。


本当は嬉しかった。

でも、私には奥寺さんがいる。



不倫なんてしてる私と

純粋な洋くんとじゃ釣り合わない。


それだったらはっきり断ったほうが…洋くんのためになる。


私はそう判断して冷たい言葉を洋くんにあえてぶつけたんだ。








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