私だけのスーパーマン
「もーっ!!すねないの!」
綾はそう言って私の顔を覗き込む。
「別にすねてなんかないもん」
そう言い放つ私は可愛くない。
実際のところ、分かってた。
どれだけ好きでも
どれだけ愛してても
別れなきゃいけないんだ、って。
でも好きなキモチに勝てなかった。
それでここまでズルズル引きずって。
あの人の1番大事な人は私じゃない。
かと言って2番でもない。
1番大事な人は奥さんとの間にうまれた息子さん
2番目は奥さん
そして3番目はきっと私
私は…3番目
だからいつも置いて行かれる。
あの人は私を抱いて、
寝たのを確認すると愛する家族のもとへと帰って行く。
何度…引き止めたいと思っただろう
でも私はあの人の家庭を壊したくなかった。
だから言えずにいた。
「行かないで」
「帰らないで」
と。