私だけのスーパーマン
「すみれは寂しくないの?
奥寺さん…帰っちゃうんでしょ?」
奥寺さんとは私の彼氏…不倫相手
「寂しくないよ」
そう答えたものの大半は寂しくて仕方がなかった。
私を抱くとき、必ず時間を気にする。
でも、奥寺さんと1つになるあの瞬間は、満たされていた。
その一瞬だけが私を支えてくれる。
私は奥寺さんを愛しているんだと再確認できる。
きっと…私は一生言えないんだ。
「別れよう」
と。
「どうなっても知らないからね、ホントに。
奥さんに見つかってからじゃ遅いんだから」
正直、綾のこの言葉は聞き飽きている。
耳にタコができるくらい、聞いた。
でもそれはきっと、私を心配してくれているからで。
けど私は素直に綾の言葉を聞き入れることができないでいた。
ぼーっとしていると授業が始まる。
でも私の頭は過去へ戻ってしまっていた。
奥寺さんと不倫の仲になったあの日へ…