私だけのスーパーマン
ハナズオウ
「最近、毎日服が違うけど…もしかして、別れた?」
あの日から1週間が経った。
私は今、奥寺さんからの誘いを全て断っている。
そしてこんなことを聞くのは無論、綾。
「残念だけど、別れてない」
別れようと思った。
けど、好きなんだ、やっぱり。
奥寺さんを…愛してるんだ。
だから、言えない。
「別れて」
と。
ただ今は、少し奥寺さんに会うことが怖くて。
だから、距離を置いている。
その代わりと言っちゃおかしいが、
最近はバイトが終われば泉さんがいるバーへ行く。
1時間か2時間お酒を飲んで帰る。
これが、日課になりつつある。
「なーんだ。
別れてないのか。
せっかくいい男紹介してあげようと思ったのにーぃ」
綾は残念そうに俯いた。
もし別れても綾には紹介してもらわない。
だっていつも軽そうな人ばっかりなんだもん。