私だけのスーパーマン
ハナズオウ





「最近、毎日服が違うけど…もしかして、別れた?」


あの日から1週間が経った。

私は今、奥寺さんからの誘いを全て断っている。


そしてこんなことを聞くのは無論、綾。



「残念だけど、別れてない」


別れようと思った。

けど、好きなんだ、やっぱり。


奥寺さんを…愛してるんだ。


だから、言えない。


「別れて」

と。


ただ今は、少し奥寺さんに会うことが怖くて。

だから、距離を置いている。


その代わりと言っちゃおかしいが、

最近はバイトが終われば泉さんがいるバーへ行く。



1時間か2時間お酒を飲んで帰る。


これが、日課になりつつある。



「なーんだ。

別れてないのか。


せっかくいい男紹介してあげようと思ったのにーぃ」


綾は残念そうに俯いた。


もし別れても綾には紹介してもらわない。

だっていつも軽そうな人ばっかりなんだもん。









< 44 / 234 >

この作品をシェア

pagetop