私だけのスーパーマン





それは、1年前にさかのぼる。


「いらっしゃいませ~!!

あ、奥寺さんじゃないですか!」


奥寺さんと出会った場所は私のバイト先の居酒屋さん

奥寺さんはその居酒屋さんの常連客だった。



『今日も頑張ってるね~!

すみれちゃん!!』


奥寺さんは私を見るといつも声をかけてくれる。

そんな奥寺さんが私は…好きだった。


いつから好きとか

なんで好きとか

そんなことはよく分からない。


でも、好きなキモチは間違いじゃなくて。


ただ、問題が1つだけあったんだ。





それは奥寺さんの左薬指に光る指輪の存在


「毎日ここに来てちゃ奥さんが可哀想ですよ~!!」

ジョッキを運ぶついでに私はそんな冗談を言う。



『大丈夫、大丈夫

それに俺は奥さんよりすみれちゃんのほうが好きだからね~!』



「またまた~」


私は笑いながら奥寺さんのテーブルを離れる。


あんなの冗談。

そんなこと、分かってるのにドキドキするこの鼓動を抑えることはできなくて。



ダメだなぁ…私。










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