私だけのスーパーマン
『そう怒らないで下さいよ。』
そう言いながらも泉さんは笑ってて。
でもなぜか、あれ以上怒る気にはなれなかった。
『あ、そう言えばいましたね、昨日』
泉さんの顔が引き締まる。
昨日?いたって何が?
『前にすみれさんとバーに来てた人ですよ』
え?
まさか昨日…見られてた?
『いつもの時間にここにいたら…たまたま、見えたんです』
泉さんはそう言って窓の前に立った。
どうしたんだろう。
何かが、いつもと違う。
『僕は…そうじゃない、って信じたかった。
でも…やっぱりそうだったんですね』
泉さんはそう言って振り向き、悲しそうに微笑んだ。
どういう…意味?
『すみれさん。
あなたは…してはいけない恋をしている』