私だけのスーパーマン





「じゃ、また明日ね」

今日こそ彼氏見つけてきまーす!

と、元気くよ言った綾は足早に大学を出て行った。


私はというと綾とは反対方向へ歩き出す。

今から行く場所は図書館


天井まである本棚はどの段も全て、埋まっている。


新しい本から古い本

絵本から小難しい本

海外の本も多数ある。


私が主に読むのは推理小説だ。

でも大学の図書館にある推理小説をまだ、全部読めないでいた。

小学校でも中学でも高校でも図書室にある推理小説は全部読んだのに、この大学には私が読んだ倍以上の推理小説がある。


図書館に入ると古臭い本の匂いが鼻につく。

そのままズンズンと奥まで進んで行く。


そして、ひとけが少ない場所へとたどり着く。

ここは私の指定席。


窓から見える大学の中庭

そこに添えるようにして置いてある1輪の花。


私はこの場所が好きだ。



『こんにちは』

後ろから聞きなれた声



「こんにちは、荒川泉さん」


『あ、僕の名前

あなたの名前も教えてくださいよ』


「そのうちに、ってことで。」


私の前に現れたのは荒川 泉(アラカワ イズミ)

この図書館の司書さん


別に自己紹介をしたワケじゃない。

荒川さんの胸についているネームプレートを見て名前を知ったんだ。


そして荒川さんは私の名前を知らない。

なんだか、内緒にしたい気分なんだ。








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