私だけのスーパーマン






『こっちですよ』

と、案内された場所はあの場所。


私の特等席。



「ありがとうございました」

案内してくれた泉さんに頭を下げる。



『荒川泉スペシャルブレンドコーヒー、あとで持って行きますね』

そう微笑んだ彼は私に背を向けた。


私は綾の背中に視線を送りながら

洋くんに綾発見のメールを打つ。



送信完了の文字を見た私は綾の背中へと近づく。




「………綾?」

綾の隣に腰をおろし、背中に手を置く。


綾の背中は、震えていた。




「あの人…いい人だね」

綾は顔をあげるとそう言って微笑んだ。


その笑顔は痛々しく、見ていられなかった。






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