私だけのスーパーマン





「泉さん、って言うんだ」


すぐ本題に入るのも気が引けたので別の話をする。



「すっごく優しそうな人じゃん」

そう綾が言い終えたと同時に泉さんが姿を現れた。



『荒川泉スペシャルブレンドコーヒーです』

お盆に2つのカップをのせている。



「あ、ありがとうございます」

図書館でコーヒーが出てきたことに驚く綾


まあそりゃあそうだよね。

普通じゃありえないもん。



『綾さん?このことは、内緒ですよ

本当は飲食禁止なんで』

悪戯な笑みを浮かべた泉さんはコーヒーを机に置き、去って行った。



「……そういうこと、か」


綾はコーヒーにミルクを入れかき混ぜながらそう呟く。



「どういうこと?」

私が首を傾げると



「すみれが毎日ここに通う理由だよ」

と、言って笑った。









< 83 / 234 >

この作品をシェア

pagetop