私だけのスーパーマン
「泉さん、って言うんだ」
すぐ本題に入るのも気が引けたので別の話をする。
「すっごく優しそうな人じゃん」
そう綾が言い終えたと同時に泉さんが姿を現れた。
『荒川泉スペシャルブレンドコーヒーです』
お盆に2つのカップをのせている。
「あ、ありがとうございます」
図書館でコーヒーが出てきたことに驚く綾
まあそりゃあそうだよね。
普通じゃありえないもん。
『綾さん?このことは、内緒ですよ
本当は飲食禁止なんで』
悪戯な笑みを浮かべた泉さんはコーヒーを机に置き、去って行った。
「……そういうこと、か」
綾はコーヒーにミルクを入れかき混ぜながらそう呟く。
「どういうこと?」
私が首を傾げると
「すみれが毎日ここに通う理由だよ」
と、言って笑った。