君への距離~あなたに一番近い場所~
思わず頬が緩んで、笑顔になった。


「おと-ん!…わっ!!」
車道に飛び出して、慌ててひっこむ。

「危ないぞ!横断歩道から来い!」
俺はガハハと笑う。



娘の名前は胡羽(コハネ)。
高校1年生だ。


俺は当時、名古屋に単身赴任していた。胡羽が中学2年のときからずっと離れて暮らしている。

大阪の母方の実家で胡羽は生まれ育った。
近所でも評判の明るくて優しい、かわいい自慢の娘だった。




「早かったやん。うち今学校から帰ってきてん!」


「制服似合っとるなぁ」


「おおきに!今日はな、みんなでご飯食べに行くんや~♪おとん何たべたい?」


「胡羽の好きなもんでいいよ。」


「ほんま~!?」
目を輝かせる胡羽。

「じゃあ…ラーメン!!」




二人で手をつないで、笑顔で手を振っている妻のもとへと歩いた。

とても、とても、幸せだった。







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