君への距離~あなたに一番近い場所~
「俺は名古屋にいたから、奥さんが警察まで迎えにいった。


胡羽は身体中傷だらけで…

でも一番びっくりしたのは母親を見ても涙ひとつ流さねえでぼうっとどこか一点を眺めていたことだったそうだ。

死んだように…




家に帰っても何も食べずに、自分の部屋から出て来なかった。


それを電話で聞いた俺は急遽、週末に休みをとって大阪に帰るつもりだった。




…なのに」






翼は耳を塞ぎたい衝動にかられた。


正直、続きを聞くのが怖かった。



「なのに…






胡羽は…






首、


吊りやがった…」






翼は深い穴に突き落とされた感覚に襲われた。





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