君への距離~あなたに一番近い場所~
「えっと…」

シオが珍しく緊張した面持ちで言った。




「短刀直入に言うな!俺、杏のこと…



杏のこと、好きやねん。」




杏はびっくりしてバイクから落ちそうになった。



「今言うなって感じやろうけど…、」






「…シオ?」




「だって好きやねんもん!

俺のが翼よりも杏のこと幸せにできると思う!」




(どこかで聞いたことあるセリフやな…)


シオは以前告白してきた奏を思い出した。

『あたしのほうが中塩くんのこと幸せにできる!』


(勝手や…)




「あたし、」

杏がシオに優しく言った。


「あたしシオといると素なの!」




「素?杏いっつもすっぴんやないか!化粧なんてできひんやろ!」


「やろうと思えばやれるわ!



ってちがうわ!


ほら、今だって。翼くんに突っ込みなんてうてないからね!」




「…」



「今のまんまがいい…今のまんまで充分幸せにしてもらってるよ?


シオはあたしの親友だから!」






< 131 / 152 >

この作品をシェア

pagetop