君への距離~あなたに一番近い場所~
「ははなんへないへはほ?」



「食べながら話さない!」
かん吉に笑顔が戻った。




かん吉はびっくりさせたお詫びにと二人を店にいれ、ラーメンをごちそうしていた。



「ん…、だ-か-ら-」


杏は心配そうな顔で尋ねた。

「なんで、泣いてたの?…なんかあった?」



「…」


「杏ちゃん…」
翼は杏の肩をポンポンと叩く。




「なんでもない!玉ねぎをな、切っとったからな…」



「…そっか、分かった。」

杏は優しく微笑んだ。
もうそれ以上、深く聞かなかった。





「いっぱい食べて大きくなりやー!!」


「パパよりおっきくなったるー!!」

杏はグッと親指を上げてニヤリと笑う。


「翼が困るだろ~!なあ?」



「あ、…今のサイズで。」





かん吉ラーメンにまた賑やかな笑い声が響いていた。






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