君への距離~あなたに一番近い場所~
「じゃあな!いつになるか分かんねえけどまたぜってえ店開けるから!」


杏、
「うん、パパ頑張れ!」

翼、
「今度は奥さんといっしょに戻ってきてください!」


シオ、
「おみやげ忘れへんよーに!!」



かん吉は笑顔で電車に乗り込む。



マサキ、
「かん吉ラーメン、はよう復活させてください!!」



みんなが手をふる。


ゆっくりと電車が動き出す。




「パパー!!!」

杏が大声で叫び、手をふる。



―おとーん!!

かん吉の日に焼けた頬に一筋涙がつたう。





「元気でなー!!」



見慣れた小さな古い駅、遥か広がる海、山、そこにせせらぐ小川、呆れるほどのどかな田畑…

そして見慣れた笑顔たちからゆっくりゆっくり遠ざかっていった。





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