君への距離~あなたに一番近い場所~
「杏?」


シオは時間が止まったかのようにベッドに横たわったままの杏を心配そうにのぞきこんだ。




「平気か?どこも…」


いいかけてシオは口をつぐんだ。



杏の細い腕や足の痛々しいアザや傷を見たからだ。




「杏…さっきの変態ヤローが言ったことちょっと聞いちゃったんやけど…、




レイプって…」





杏はハッとしてシオを見つめた。



「…よしよし。怖かったな」


シオが優しく杏の頭を撫でる。



じんわりと涙が溢れて、杏の視界は滲んでいく。




「泣いていいんだよ?誰にも言わないから…」



(シオの言うことはいつも大人で…



いつも正しくて…



そして、いつも自分の味方でいてくれる…)




杏は声をあげて泣き出した。



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