君への距離~あなたに一番近い場所~
試合は3-2で負けた。
当たり前と言えば当たり前の結果…

控えの翼は結局試合に出ずじまいだった。




「お疲れさま!」

いつも通りの笑顔でみんなを迎える杏。



「マネさん対決なら負けんけどなぁ~」

2年のタクさんがくやしそうに杏を見る。

すかさずリョースケがつっこむ。
「体力がっすか?」


杏が眉間にしわを寄せてリョースケをにらむ。

「美貌が、やんなぁ?」
マサキがにやにやしていう。


「もちろ-ん♪」
杏はおどけてそう言うと、スコアブックをカズさんに渡した。




「ありがと!」
カズさんがそれをパラパラめくる。


「あっコラ!」
カズさんがスコアブックを見て笑った。


隣にいたリョースケが覗き込む。

「落書きしたな~!」


「かわいいでしょ?」杏が微笑む。



「こっちの泣いてる方、ブサイクやなぁ~」シオが翼のうさぎを指差して笑う。




翼も覗き込む。


(あ…)



泣いてるうさぎに矢印が書き足されていた。


矢印の先には…




笑ったうさぎ。





犯人はすぐに分かった。


そのうさぎが杏にそっくりだったから。





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