君への距離~あなたに一番近い場所~
「お前のせいや…」


「自業自得!」



シオと翼は陸上グランドを見渡せるいつものベンチに座って杏を見ていた。



「シオ、絶対嫌われたな!最低って…」


「うれしそうに言うな!ちょっとびびってたくせに」


「別に!だからあれは…」

「ちょっ!」
シオがグランドを指差して驚いた顔をした。

翼もシオの指差した方を見る。



「あいつ…」


そこにいたのは五条だった。



「待てよ!シオ、杏ちゃんに何があったか知ってんのか?」


「あ…ああ。あの男が杏の部屋に強引に入ってったとこ見えて、変なことしようとしてたから突き飛ばしてやった!


そんとき二人が話してたこと聞いて…」




「…ありがと」

小さな声で翼が言った。

素直にシオに感謝した。



「キモチワル…」
シオが静かに笑う。



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