友達以上 恋人未満…?
「実は…お嬢様には内密にしてほしいのですが…」
―――…
時はさかのぼりこの日の昼過ぎ頃…
「今日は何にしましょうか」
ピエールはつつじの友達に喜んでもらえるような料理を作るため、買い出しに出ていた。
いい香りが鼻をくすぐり、パン屋に入ろうとした時…
ピリリリリ…
「電話か…はい」
カシャンッ
つつじの両親から聞いた言葉に、ピエールはケータイを落としていた。
お嬢様が…誘拐された…?
とたんにピエールは走り出した。
人ごみを縫うように走り、風をかきわけ、ただ走った。
走りながらつつじはどこにいるのか、必死で考えた。