BLOOD,CHAIN.
なんか、ホントに何でもアリのRPGみたいだな‥と刹那が考えていると、ヒツギは刹那の表情から何かを読み取ったのか


「ねぇ、キミは僕を勇者か何かと勘違いしてない?」


と、不敵な笑みを浮かべて言い出した。刹那が暫く考え込んだので2人の間に沈黙が流れる。

「いえ、オレが知ってる勇者のイメージじゃ‥少なくとも主人公を殴り起こしたりしません。それに、勇者にしては正直‥正義感無さそうです。」


殴られる覚悟で、刹那がハッキリ言うと‥ヒツギの肩が震えている。


(嗚呼、肩を震わせるほど怒らせちゃったよ‥オレ。殴られるかな‥いや、蹴りが来るかも。どっちにしろ、オレの命がマジでヤバい。)


強く目を閉じて、来るであろう衝撃と激痛を待ったが‥何も起こらない。恐る恐る、刹那がヒツギの顔を見上げると‥ヒツギは笑っていた。決して声を出して笑う人ではない、笑う声さえ噛み殺している。


「あの‥オレ、何か変なこと‥言っちゃいました?」


「いや、失礼。違うんだ、あんまり君がハッキリ言うからね‥ちょっと驚きもしたよ。」


どうやら怒っていないらしい。何が面白かったのか分からないが‥とりあえず、パンチかキックは免れた。
< 25 / 28 >

この作品をシェア

pagetop