スカーレットの雪

「あ、あたしだ」

さっき返してもらったばかりの携帯を取り出した。サブディスプレイには『着信:亜依』。

「もしもしー?」
『あ、緋那ぁ?』

亜依はクラスで一番仲のいい友達だ。亜依も今頃彼氏とデート中なはずで。

「どしたの?」
『今映画館なんだけどねー、明日緋那が見るって言ってた映画あるでしょ?あれ、なんかほぼ満席だよ』
「うそ、ほんと!?」

驚くあたしの方を、奏ちゃんが見た。あたしは眉間にしわを寄せる。

『まだ少しなら席あるし、予約しとこうか?』
「ほんと?いいの?」
『いいよー、明日チケット渡すし』
「わぁ、ありがと~っ」

やっぱ話題の映画だし、おまけにクリスマスイブだし、なめちゃいけなかったな。そんな事を思ってるあたしに、亜依がテンションの高い声で言った。

『相変わらずラブラブですねぇ~』
「え?」
『さっき見ちゃったぁ!二人が手繋いでお店から出てくるとこっ』
「う、嘘!?」

そういえばさっきの店から映画館は結構近い。まさか近くに亜依がいたなんて。

『いいじゃん、仲良しで』
「もーっ、誰にも内緒だよぉ?」
『緋那ってやっぱ変わってるよねぇ。付き合ってんだから堂々といちゃつけばいいのに』
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