スカーレットの雪

……………

…ブーッ、ブーッ、ブーッ。定期的に鳴る耳障りな音。

目覚まし?今は朝?

「もぉ…誰か止めてよ…」
「何を止めるって?」
「えぇ?」

寝ぼけ眼をゆっくり開ける。首が痛い。ここ…部屋のベッドじゃない?

頭を上げた。てっきりお母さんがいると思ってたそこには、不気味な程笑顔の先生。

ゆっくりと、背中に冷や汗が伝った。

「綾瀬さん、机の中にあるもの出して?」

先生の笑顔にあたしも情けない笑顔を返して、諦めた様なため息をついた。
授業中の教室に漏れる失笑。

「先生ぇ、見逃してくれる…」
「わけないでしょ?うちの学校は携帯禁止です」
「はぁい…」

あたしは泣く泣く机の中に入れっぱなしだった携帯を渡した。

「放課後職員室ね」

そう言って授業に戻る先生の背中にを見ながら、もう居眠り癖は治さなきゃなと思う。

教卓の上に置かれたあたしの分身を見つめて、またひとつため息をついた。

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