スカーレットの雪

…「失礼しましたぁ」

職員室を出ると、辺りはさっきより暗くなっていた。冬だなぁと、ぼんやり思う。

「お疲れー」

下駄箱には、あのマフラーを巻いた奏ちゃんがいた。待っててくれたんだ。

「奏ちゃーん!」
「おわっ、緋那学校じゃいちゃつかないんじゃなかったの?」
「今人いないしいいのーっ」

座ってる奏ちゃんの肩に抱きつきながらそう答えるあたし。

「授業中にメール送ったの、奏ちゃんでしょ」
「バレてた?」
「バレるに決まってるじゃん!」
「お陰様で俺は見つからずにすんだけどね」

もぉ、少し頬を膨らませてみせる。そんなあたしの頭を撫でて、「ごめんね」と言う奏ちゃん。

あたしが奏ちゃんの笑顔に弱いのは、他でもない奏ちゃんが一番知ってるみたい。

「帰り、あのお店寄ろっか」
「ほんと?」
「クリスマスプレゼント選びに行こ」
「わぁいっ!」

飛び上がって両手を上げる。奏ちゃんも立ち上がって、「じゃ、帰ろ」と笑顔。

明日は終業式。
そして、クリスマスイブだ。

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