スカーレットの雪
「寒~っ」
「これはホントに雪が降るかもね」

奏ちゃんはあたしの手を握って、空を見上げた。あたしは素直に奏ちゃんの手を握り返す。

「ホワイトクリスマスになるかなぁ」
「でた、緋那の願望」

ははっと笑う奏ちゃん。ぷぅっと膨れながらも、あたしは奏ちゃんを見上げて言った。

「だってロマンチックじゃん?ホワイトクリスマスなんてっ」
「イブに降ったらクリスマスには降らないんじゃない?」
「積もったらいいのっ!」

降らないかなぁ、雪。そう呟くあたしに、奏ちゃんは優しい声で「きっと降るよ」と言ってくれる。あたしも笑顔で頷いた。

その時不意に、携帯が鳴った。
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