ただ…逢いたくて
宿泊研修
5月末。まちにまった宿泊研修。
あ、宿泊研修っていうのは新しい友達と寝泊まりをして親睦を深めようっていう恒例行事。
「しゅっぱーっつ!」
髪をアップにして超張り切って行った。
『おはよ…紗季ぃ』
いつも元気な美穂が今日は暗かった。
「どした…!?」
『彼氏がね…まったく連絡くれないの、最近……』
美穂には中学から付き合って二年目の彼氏がいた。
「まぢで…;?でも男子高でしょ?大丈夫だよ!」
美穂の彼氏はテニス部で有名な男子高に行ったらしい。
『だね…;けど今日から宿泊研修だからテンション上がるよ!』
美穂が無理にテンションあげて笑ってるのがわかり、痛々しかった。
『紗季〜♪今日から3日間ずっと一緒だな〜☆』
「うるさいよ―翔…」
空気が読めない翔がつっこんできた。
『翔はおもしろいね!ってかやっぱ翔は紗季のことが…』
『ああーーーっ!ストップ!』
美穂はクスクス笑いながら翔と話していた。よかった…空気読めない翔でもたまには役に立つんだね。(笑)
『一年五組!集合!バスに乗るぞ〜』
『「はーい』」
私たちはバスに乗り込んだ。
1番後ろに左から美穂、翔、千夏、大河、私で座った。
順也は前の方に多分彼女らしき子と座っていた。
私は1番端だから隣の大河と話すしかなく、ずっと大河と喋っていた。