ただ…逢いたくて
『食う?』
大河がポッキーを勧めてきた。
「ちょーだい」
『ん。あーん…♪』
口を開けろと言わんばかりに私の口にポッキーを近付けた。
「あーん。」
大河のノリに答え、口を開けた。でもぱくぱく口を開け閉めしてる私を楽しむようにポッキーを上下に動かして爆笑する大河。
「ちょっとーー!」
いい加減私も呆れてそっぽを向いた。
『はははっ!紗季の顔をおもしろかったぜ?』
明らかに馬鹿にしてくる大河。
大河な大きい笑い声に隣に座ってた美穂たちもつられて笑ってきた。
「うっさいなー!もういらなーい」
『んじゃああたしがもらうよ?いーの?紗季〜♪』
1番左に座る美穂が体を前に出し言ってくる。美穂…大丈夫かな…;と心配したのもつかの間。
『ちょっと前の席行ってくる。』
いつもより明らかに怒った口調の千夏。
『なんだ?』
『どーしたんだろ』
大河と美穂が心配するなか、今度は翔が…。
『お前のせーだろ。』
って私を睨んだんだ。
一瞬、時が止まったみたいにしーんとなった。
『何、怒ってんの〜紗季のせいじゃないでしょ!』
美穂が笑いながら暗い雰囲気を壊そうとした。
『俺も前行くわ。』
低い声で揺れるバスな中を前へと移動する翔。
『気にすんなって!あいつなんか機嫌悪かっただけだって』
大河と美穂が励ましてくれる言葉なんて耳にも入らなかった。