ただ…逢いたくて
『うーっす♪』
今日も人込みから抜け出てきた亮。昨日と違ったのはもう一人、亮の後ろに同じ制服を着た人が居た。
『亮ちゃんおはよ♪だれ?』
『俺、安部翔!よろしく〜』
「亮いつの間に友達できたの?」
『今さっき。翔は紗季と同じクラスだってよ。』
「そーなの?あたし紗季!よろしくね」
『紗季、入学早々怒られてただろ?』
いきなり呼び捨てで呼ばれ、ちょっとドキッとした。
明らかに、スポーツ少年ぽくて背も私ぐらいで黒髪無造作ヘアーで腰パンしている翔(カケル)。
『紗季は態度でかいからな!』
笑いながら言う亮の足を踏んだ。
『紗季。亮ちゃんの足踏んだらダメだって!』
また今日もぴったりとくっつくえり。
『亮、彼女いたんや♪』
ニヤつく翔。
『彼女のえりでーす♪』
ブーーーーー!!
電車から降りて、学校へ向かう。
『紗季って彼氏おる?』
翔が小さい声で聞いてきた。
「いないよ」
『ふーん』
聞いといてなんだその態度。って思ったけど気にならなかった。
皆と別れ、今日は翔とクラスに入る。
『紗季〜♪おはっ!』
朝から元気な千夏。
「おはよ♪」
席に着くと私の席の近くに女子が集まっていた。
『5組ー♪楽しもうね』
盛り上がってる女子たち。
『紗季ちゃーん!』
って話し掛けてくる子は多く、友達がいっぱい増えた。
先生がきてからも美穂とずっと話していた。
今日は大掃除したら帰りだった。席順で掃除の場所を決められ、先生に目を付けられてた私を含む七人は1番大変な教室になった。
『紗季どんまい♪』
さっき友達になった何人かに突っ込まれ、泣く振りをした。