看護学校へ行こう
修学旅行
 学園祭が終わり、授業と実習は元に戻ったが、実は看護学校でもっとも大きなイベントの、「修学旅行」が待っている。高校でもないのに修学旅行があるのは不思議だが、はっきり言って遊びに行くのも同然だ。まず学校サイドでは、一週間まるまる休みをくれる。で、月曜日にみんなで一緒に出発し、学校で準備した箇所を見学する。二日目はディズニーランドだ。で、三日目以降は自由行動になる。自由と言ったらほんとに自由で、帰っても良いし、自分たちでホテルをとって、旅行を続行しても良い。だが残って遊びたい者は、旅行会社に行って、自分たちで手配する。もちろん好きなメンツとつるんでよい。というわけで、私は8人仲良しグループをつくって、行動を共にすることにした。旅行会社には私が行き、交渉して宿を決め、2泊3日で日程を組んだ。

 いい歳をして、出発となるとわくわくどころか、有頂天になってしまう。なにせ「ディズニーランド」だ。初めて行くからどれほどすごい遊園地なのか、想像がつかない。だがまだ見学が先である。まずは聖路加国際病院を見学することになっている。由緒正しい日本を代表する病院の一つ。現地に着き、早速見学だ。設備は最先端だった。昭和末期には珍しい、ナースステーションがオープンカウンターとなっている。この時点でびっくりである。分娩室を見せてもらったが、分娩室と言うよりは、高級ホテルの一室のようだ。これは妊婦さんをリラックスさせるためで、いかにも病院という雰囲気を出さない工夫がほどこされている。建物全体も、新しい中にも何か、荘厳な感じがする。一通り見学を終えたら、聖堂に集められた。そこでいろいろ説明を聞く。私と遠山さんは、

「いいねえ、こんなところで働いてみたいねえ。」

と話した。最先端の医療技術と看護を学べる。本当に面接を受けようかと思ったが、私は学校を卒業したら、札幌の実家に戻ることになっているから無理である。
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