看護学校へ行こう
四日目。横浜へ向かう。ここでも私は単独行動をすることにしていた。私は人と一緒に行動するのがあまり好きではない。一人で気ままに好きなところに行きたい。相手に合わせて行きたくないところまでつきあうのが面倒なのだ。私はどうしても行きたいところがあった。フェリス女子大だ。私は地図を頼りに歩いて向かった。大きな建物が見え、目的地はすぐに見つかった。中には入れないから、垣根の合間から中を覗いた。いかにもお嬢様な顔立ちの子が、高級外車から降りてきた。雰囲気が違う。表情からしてお嬢様なのだ。生まれてから怒ったことなど無いような、何にも戦って生きていないような穏やかな顔立ち。お洒落なスーツを着ている。学校に勉強に来るのにあんなにお洒落するんだ、私とは雲泥の差だなあとため息が出た。私が今回大奮発して買った7万円のスーツなど、論外だろう。彼女らは外国製の高級ブランドのお洋服を着ているに違いない。なんだか垣根から覗いている自分が惨めに思えてきた。この大学を見たかったのは、憧れからである。自分とは無縁の世界をちょっと覗いてみたかったのだ。だが後悔した。小さな自分の世界に住んでいれば、比較する必要などなかった。私は情けなくなって、とっととその場を立ち去った。その後恋人が集まると言われている公園に行ってみたが、どうってことはなかった。大体狭い。それから本に載っていた有名な喫茶店でケーキを食べてみたが、これまた北海道の方が上だと思った。
北海道へ帰る日となった。このとき私は、東京には住みたくないなと思った。東京には地面がない。草も木もない。アスファルトと建物だけで、隣の家同士の境界線が、ごくわずかに隙間があるだけだ。こんな事、北海道では考えられない。人もうじゃうじゃいる。
「あー、やっぱり北海道が一番だわ。」
と実感し、やがて飛行機の窓から北海道の夜景が見えてくると、安心した。
北海道へ帰る日となった。このとき私は、東京には住みたくないなと思った。東京には地面がない。草も木もない。アスファルトと建物だけで、隣の家同士の境界線が、ごくわずかに隙間があるだけだ。こんな事、北海道では考えられない。人もうじゃうじゃいる。
「あー、やっぱり北海道が一番だわ。」
と実感し、やがて飛行機の窓から北海道の夜景が見えてくると、安心した。