看護学校へ行こう
だから私たちに「洗髪禁止令」が出たわけだが、看護の本質からずれているように、実習経験が浅いなりに思った。勤務態勢のことなどナースステーションでディスカッションすべきではなかったのか。週に一度の洗髪など、不快この上ないだろう。だがなにぶん昭和の末期の時代での看護観と、スタッフの配置の関係上、やむおえなかったのかもしれない。

 こうして週に3度の実習と、授業が並行して行われていった。午前中実習、午後から授業などのときは、疲れ切って午後の授業は睡眠時間となる。実習のあった日は3時間睡眠が平均となってしまった私たちは、授業と授業の合間の10分間の休み時間も寝ていた。どういうわけか、たまたまある日、私といもたにさんと、すっぽんが起きていて、他の子は全員机に突っ伏していた。みんな寝ているので教室は静まりかえっている。すると

「べふっ」

と音がした。私たち3人は顔を見合わせてから、ゆっくり教室中を見渡した。明らかにおならの音だ。犯人は誰か?すると寝ていた子が一人、むっくりと起き出した。白田である。爆笑する私といもたにさんとすっぽん。白田は言い訳のしようもなく、情けない表情をしている。起き上がらずに机に突っ伏していたらばれなかったもの。それから何かにつけ、寝屁をしたくせにと、からかわれる羽目になった白田。おしゃれでかしこい彼女の一生の不覚であった。
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