看護学校へ行こう
陣痛が襲ってきたときの妊婦さんの手の握り方は普通じゃない。こっちの手が握りつぶされそうな力である。私も妊婦さんの気持ちに共鳴し、必死になる。そして赤ちゃんがようやく生まれ出てきたときには、新しくお母さんになった人と共に泣いてしまうのだ。助産婦さんは赤ちゃんの鼻と口の中をきれいにし、お母さんに抱かせてあげる。だが、胎盤が出るまでは出産は終わっていない。これは「後産」と呼ばれ、経産婦の方が初産婦より痛いらしい。ずるずると胎盤が出てきたら、ドクターや助産婦さんが赤ちゃんから胎盤を切り離す。その後胎盤の大きさや性状を観察して記録する。この役目は大抵学生だった。初めて胎盤に触ったときは、
「レバーのでかいやつだ。」
と思った。赤ちゃんを包んでいた袋が皮のようについている。胎盤にもピチピチしたのとぼろぼろなのがあり、ぼろぼろなのは、大抵予定日を過ぎているか、お母さんが高齢か、何らかの異常分娩だったりすることが多い。胎盤は赤ちゃんがお母さんから栄養をもらうところだから、性状をきちんと報告せねばならないのだ。この胎盤計測中は、ナースや助産婦さんがつくわけではなく、学生に任せてもらえるから、私たちは物珍しく触って遊んでいた。何とも罰当たりである。ちなみにこの胎盤は、ただ廃棄するわけではない。火葬場で焼いてもらうのである。
分娩室が特別なら、オペ室は、もっと一般人が入れないところだろう。初めてオペ着に着替え、手をまんべんなく洗い、オペ室に入ったときは、そりゃあうれしかった。ただナースは怖かった。黙って見学をしていたら実習にならないので、ドクターが放り投げる血を拭き取ったガーゼを拾い、計測してガーゼの重さを差し引くと、出血の量がわかる。この役目は学生専門だった。
「レバーのでかいやつだ。」
と思った。赤ちゃんを包んでいた袋が皮のようについている。胎盤にもピチピチしたのとぼろぼろなのがあり、ぼろぼろなのは、大抵予定日を過ぎているか、お母さんが高齢か、何らかの異常分娩だったりすることが多い。胎盤は赤ちゃんがお母さんから栄養をもらうところだから、性状をきちんと報告せねばならないのだ。この胎盤計測中は、ナースや助産婦さんがつくわけではなく、学生に任せてもらえるから、私たちは物珍しく触って遊んでいた。何とも罰当たりである。ちなみにこの胎盤は、ただ廃棄するわけではない。火葬場で焼いてもらうのである。
分娩室が特別なら、オペ室は、もっと一般人が入れないところだろう。初めてオペ着に着替え、手をまんべんなく洗い、オペ室に入ったときは、そりゃあうれしかった。ただナースは怖かった。黙って見学をしていたら実習にならないので、ドクターが放り投げる血を拭き取ったガーゼを拾い、計測してガーゼの重さを差し引くと、出血の量がわかる。この役目は学生専門だった。